昨年より1週間ほど早い8月末に収穫期に入ったニューピオーネ。岡山県南部のほうでは吉備中央町よりも春の気温が高いため、一足早くピオーネが出荷されます。ピオーネの中でも種無しのものはニューピオーネと呼ばれています。岡山県はピオーネの産地で栽培面積・生産数量ともに日本一を誇り、ピオーネの種無し栽培技術は岡山県で開発されました。
ピオーネは巨峰×カノンホールマスカットが交配されてできた品種で、巨峰よりも大粒で皮をむくとあふれる果汁が魅力的。甘さの中にも爽やかな酸味があり、とてもさっぱりとした食味です。
わたしは小さいときからピオーネをよく食べて育ちました。ぶどうと言えばピオーネ!そんな感じでした。岡山県の方だと同じように思う方もいらっしゃるのではないかと思います。近所の農家さんにいただいたピオーネを1人で1房ぺろっと食べて、よくお腹を壊していました…(笑)
当園では5種のぶどうを栽培していますが、わたしはやっぱりピオーネの味が大好きで栽培する立場になっても毎日食べてしまいます。わたしの周りでもピオーネファンは多く、収穫期に入って早速注文してくださる方もいます。
ハウス栽培で作るピオーネは露地栽培のピオーネよりも色がつきにくく、きれいな黒に近い紫色になりにくいです。その色づきに悩まされていますが、8月後半の暑さを迎える前にピオーネを樹上完熟されることができれば、改善されます。それには加温機の導入が必要です。加温機は冬の寒い時期にハウスを温めてくれる暖房器具で、冬にハウス内を温めることでぶどうの木に春がきましたよーと錯覚させて芽吹きを早める効果があります。芽吹きを早めることによって真夏の暑い日差しを受ける前にピオーネを樹上完熟させることができ、ピオーネも黒に近い紫色になりやすくなるということです。それに加えて出荷時期も早まり、当園でもお中元の時期にピオーネを出荷できるようになります。
今年はコスト面での難しさもあり、加温機の導入を見送りました。ピオーネ15本の木のために加温機を導入すると、小さめの加温機が2台必要となります。加温機2台で100万円を越え、新しい軽トラが余裕で買えてしまうほどの値段。それに加えて設置して温める期間には電気と重油を使います。油の値段も一昔前に比べればかなり高くなっており、今年度そして来年度も難しいだろうなという結論に至りました。
わたしが退職して加わったことで、わたし自身への給料も発生し両親を苦しめているのも事実ですが、わたしの力で販売路を広げていければ再来年には加温機の導入が可能になるだろうし、そうなればわたしの中では夢のようなものだったお中元ぶどうが出荷できる!
既に加温機の導入で早くから出荷されている農家さんは全国にもたくさんいますし、町内でもそんな農家さんがいるので、お話を聞かせてもらって、再来年には加温機の導入が可能になるようにしていきたいと思います。
当園のお中元ピオーネ!まだまだ先ですが、お楽しみに。